今年の桜

愛宕下 3月31日朝

去年完成した虎ノ門ヒルズなど、高層ビルが林立する港区の愛宕下。

今年の東京の桜の開花は3月21日、例年なら1週間で満開になるのだが、3月31日の朝には、まだ見ごろとはなっていなかった。

夕方満開に近く

しかし、この日の日中には気温が上がり、昼過ぎには都内の桜は満開になり、愛宕下でもようやく見ごろを迎えた。

4月1日代々木

4月1日。代々木公園の国立第一体育館。

昭和39年の東京オリンピックでは水泳競技の会場となった丹下健三設計の名建築。
入口横に立つ桜も満開を迎えていた。

つい先日、この体育館では若い人たちに人気の「東京ガールズコレクション」が開かれたし、この週末には全日本体操選手権が開かれ大勢の人たちでにぎわっていた。

2020年の東京オリンピックでも、ハンドボールの会場に予定されるなど、現役バリバリの体育館だ。

桜が、その美しい建物を一層引き立てていた。

仙台堀の桜

4月2日。

江東区、仙台掘りの桜並木を訪ねた。

実は、ここは以前水運のための運河が開削されていたところだった。

大正から昭和の初めにかけての頃、付近が農村から工業の町として発展してゆく中で、小名木川と結ぶ砂町運河が昭和8年民間の手によって完成した。

しかし、周辺が住宅地へと変貌を遂げてゆくなか、昭和55年には埋め立てられ、今は遊歩道となっている。

懐かしい映画のポスター

遊歩道のかたわらに、昔懐かしい映画のポスターが飾られていた。

どうやら、この遊歩道で練習をしているランナーのクラブが設置したようだ。年配のランナーか多くいることが想像される。

懐かしい嵐寛寿郎、大友柳太朗、市川歌右衛門、片岡千恵蔵の映画だ。

私が小学生の頃、近くには映画館がたくさんあった。

三田の慶応大学の前には、3本建ての大衆向けの映画館があった。確か「三田館」という名前だった。

中村錦之助、東千代之介などで大人気の「紅孔雀」や「笛吹童子」などは立ち見で見た。

三田館では、新東宝が社運を賭けた大作と宣伝していた、嵐寛寿郎主演の「明治天皇と日露戦争」も見た。

そして、前田通子主演の「女真珠王の復讐」という、子供には刺激の強すぎる実録物の映画も、こっそり見た記憶がある。

しかしなんといっても、大友柳太朗、市川歌右衛門、片岡千恵蔵が活躍する東映の時代劇が当時の子供たちに大人気だった。

ちなみに、現在の港区芝2丁目の古川沿いには「芝園館」という東宝の封切館があって、黒澤明の「七人の侍」や「蜘蛛巣城」は、そこで見た。

洋画を見たのは、麻布十番にあった「麻布シネマ」という館名だったか、

ジェリールイスの喜劇や、「世界残酷物語」というドキュメンタリーを見たことを思い出す。

高輪の二本榎の近くにも映画館があって、大映の人気シリーズだった三益愛子主演の母物は、母や姉に連れられて見た。

泣かせる映画で、母や姉は涙して見ていた。

こうして、あの頃は映画が最大の娯楽だったから、当時の銀幕のスターは忘れようにも忘れられない。

あれから半世紀たった今、こうした大スターたちの当時の活躍ぶりを知る人たちも少なくなった。

現在の日航の社長が、あの片岡千恵蔵のご子息であることや、北大路欣也が市川歌右衛門の子息というのを知らない人たちだって多いはず。

だから、こんなことを言ってもなんとも感じない方もいると思うが、私にとっては「へえーっ!」と思うことが先日あった。

石田波郷

石田波郷という俳人がいた。

戦後まもなく、江東区に住み、下町の暮らしの中で句作を続け、昭和44年には句集「酒中花」で芸術選奨文部大臣賞を受賞している。

石田波郷の句碑

昭和32年、読売新聞・地方版に「江東歳時記」の連載をはじめ、江東地域の人たちの生活を俳人の視点から描写、

暮らしを見つめた記述と俳句から、当時の世相がよみがえる。

そして今、私が暮らす江東区には多くの波郷の句碑がたてられている。

その石田波郷に俳句を勧めたのが、ほかならぬ大友柳太朗だった。

大友柳太朗が同級生

江東区北砂の砂町文化センターにある「石田波郷記念館」で、こんな記述を見つけた。

波郷と大友柳太朗は、旧制松山中学(現在の松山東高校、2014年の選抜高校野球に21世紀枠で出場し、評判となった)の同級生。

あの正岡子規も学び、夏目漱石が教鞭をとった中学での出会いだった。

大友柳太朗のあの独特のセリフ回しで、石田波郷に俳句を勧める場面を想像してみる。

ちょっとした青春ストーリーが出来上がりそうだ。

なお、大友柳太朗本人も句作を続け、ウィキペディアによれば

「1980年に出版された歌集『昭和万葉集』(講談社)には大友の歌が4首収録されている」と記されている。

皇居乾通りの桜の公開

4月3日、今年も皇居「乾通り」の桜が一般公開された。

寒さで開花が遅れたため、当初の予定を延長して、この日が今年の最終日。

あいにくの雨と寒さで、ちょっと残念だったが、桜はどんな天候でも美しい。

山吹の花

途中、黄色い花が咲いていて、連れが「山吹の花」と教えてくれた。

太田道灌ゆかりの花ということで、なぜかうれしかった。

自生しているのではなく育てているのだと思ったが、どうなのだろう。

年年歳歳花相似たり

乾通りには、たくさんの人がカメラを持って詰めかけていた。

そして通りに沿ってたくさんの警察官が立っているので、どこを撮影しても警察官が写り込んでしまう。

この写真の周囲には、実は多くの人たちがいるのだが、とても静かな風景に仕上がった。

命の継承

近くの公園で、桜の横に一本の朽ち木を見つけた。

幹からは、新しい命が芽吹いて上に向かって伸びていた。

年年歳歳花相似  毎年花は同じように咲く

歳歳年年人不同  しかし人間は毎年毎年同じではない。

とはいえ、命の継承を繰り返しているのは人だけではなく、花も同じだった。


 こうして古希を迎えようとする今、”桜を見る自分は、去年の自分ではない”と再び教えられる。

桜を見るということは、そういうことなのだろう。

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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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