旧中山道で見かけた風景 ②「縁切り榎」

縁切り榎

旧中山道・板橋宿の街道沿いに、「史跡 縁切榎」と書かれた小さな社を見かけた。

案内板

近くに寄ってみると、案内板があった。それによると

江戸時代、道をはさんだ向かい側に旗本の屋敷があり、垣根際に榎の古木があった。

榎はいつの頃からか「縁切榎」と呼ばれ、嫁入りの際には、縁が薄くなるのを恐れてその下を通らなかったという。

幕末、公武合体の思惑から、14代徳川将軍家茂の正室となった皇女和宮は、中山道を通って江戸に下向した。

その際、この縁切榎を避け、およそ1キロの道のりの迂回路を作ったとのことだ。

ちなみに、
「その時の一行の行列は、警護や人足を含めると総勢3万人、沿道は住民の外出・商売が禁じられ、犬猫は鳴き声が聞こえない奥につなぐこととされた」等が、ウィキペディアには書かれている。

どんな小さいことであれ不測・不吉の事態が起きないように、様々なことに気を回していたことが窺われる。

縁切榎も、大きな心配事の一つだったということだ。

絵馬が並ぶ

小さな祠までの短い参道に足を踏み入れると、その左右に、「縁切り」の願を書いた絵馬が沢山並んでいた。

中味は、「良縁に恵まれますように」という一般的なものから、具体名を書いた深刻なものまで様々だった。

無謀な上司と多い仕事

「あまりにも無謀な上司と、あまりにも多い量の仕事から縁が切れますように」とある。

余りにも無謀な上司というのは、一体どんな上司なのか不明だが、世にいう労基法に違反するブラック企業で働いている人なのかもしれない。

離婚できますように

こちらは、妻と円満に早急に離婚できますようにという絵馬。

「お互いの思いが消え、互いに次のステップを踏めますように」という願いは、他人事ながら寂しくなってしまう。

ネットで誹謗する人

「ネットでの誹謗中傷に悩む」というのは、まさにいまどきの社会ならではの悩みといえるかも。

セクハラおやじ

絵馬に書かれた願いは実に様々。

中には、深刻なストーカー被害に遭っている人からの絵馬もあるかもしれない。

ストーカーによる不幸な事件のニュースに接するたびに、「神頼み」では、根本的な解決にならないことを感じさせられる。

絵馬の奉納者がストーカー被害に遭わないことを願うばかりだ。

老犬の介護

「縁切榎」を後にして、旧街道を走っているとこんな看板が目に留まった。

「老犬を介護します」というお店の看板だ。

世の中には、愛犬と人間以上に深い縁を結ぶ人もいる。

決して少数ではない。

「縁切榎」の絵馬と違って、この看板の裏には、「濃密な縁でむすばれた人と犬」の関係が見えてくる。

全ての人が、いとしい愛犬・愛猫に接するように他人と接すれば、「縁切榎」にお参りする必要もなくなりそうだ。

しかし、それができないのが人間なのだろう。少し、寂しいことだが。

江戸の昔から今日まで、この小さな社が人々の思いを受け止めてきた歴史がそのことを物語っている。



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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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