国立博物館で「昔の夏の暮らし」を思い出した

故宮博物院展へ

暑い日が続いて、日中は走る気がしない。

ならば、涼しい建物の中で、世界の名品を見ようと「台北故宮博物院展」の開かれている、上野の国立博物館へ出かけた。

久しぶりに「平成館」の前まで来ると、こんな写真と説明があった。

この写真はご存知「森鴎外」。

説明によれば、森鴎外は帝室博物館総長として、ちょうどこの付近にあった総長室で、大正6年から11年に亡くなるまでの間執務していたという。

へえーっ!と思って、博物院展の会場に入った。

故宮の宝物については、以前、台北と北京を訪ねた際、駆け足で見学したことがあった。

今回は、もう少しじっくり鑑賞できるかと期待していったが、目玉の「ヒスイの白菜」の展示は終了していて、私にはあまり関心のない「書」の展示が多く、多少期待は裏切られた。

国宝室

企画展が物足りなくても、国立博物館の本館には常設展示がある。

教科書で見た数多の国宝を始め、日本文化の粋ともいえる素晴らしい収蔵品をまじかに見ることができる。

ここは「国宝室」。

およそ1か月毎に、その時期に相応しそうな国宝を展示している。

今年の1月は、長谷川等伯の「松林図屏風」。
2月は雪舟「秋冬山水図」といった具合。

果たして今月は何か、絵の前のソファーには外国の青年が腰かけて見入っていた。

「納涼図屏風」

久住守景の「納涼図屏風」だった。
久住守景は狩野探幽門下で、この作品は17世紀、江戸初期のもの。

ひょうたんが頭上を覆う軒端の下、蓆を敷いて涼む3人は親子のようだ。

女は腰巻だけのようだが、涼しい風を待っているのだろう。

私の子供のころは、クーラーなど無かったから、今のように密閉された部屋の中にいることなどは考えられなかった。

夕涼み、縁台将棋などは暑さしのぎの定番だった。

根付「打ち水」

これは高円宮が蒐集された「根付」を展示する部屋で見つけた。

タイトルは「打ち水」。

昔は、店の前で「打ち水」をする光景をよく見かけた。

最近は、時々ニュースで、

地域で一斉に打ち水をして、街を涼しくしようとの取り組みが紹介されることがあるが、暮らしの中の習慣としては消えてしまったようだ。

歌川国直「夏」

江戸後期の浮世絵師・歌川国直の「夏」という浮世絵。

髪を洗う母親と幼児が描かれている。

左下には、「たらい」が描かれている。

私と同時代の人であれば、夏の暑い一日、盥に入って水遊びをしたり、体を洗った思い出のある人も多いはず。

狭いながらも開放感があって、楽しい思い出の一つだ。

川又常行「蚊帳美人図」

そして「蚊帳」。この字を「かや」と読むことのできない人も多くなったことだろう。

これは江戸初期の絵、「蚊帳美人図」(川又常行)。

アフリカでは、伝染病の防止に蚊帳が今でも活躍しているという報道を見たことがあるが、
日本では「蚊帳」を見たこともない人の方が多いのではないだろうか。

”蚊帳の中に入る時は、蚊が中に入らないように急いで入る。

風が吹いても、細かい網目が邪魔をして、思ったほど涼しい風が通らない。

雷が鳴った時に蚊帳の中に逃げ込むと、少しは安心できた”


僅か半世紀前の風景だが、そんな「夏の思い出」は姿を消してしまった。

こうして昔の名作を見ていると、今、世の中の移り変わりはあまりにも激しい。

今という時代は、人間の暮らしを劇的に変えている時代」であるということがよくわかる。

「不易流行」

変わるものと変わらぬもの

激しく移り変わる世にあって変わらないものは何か

博物館に行くと考えさせられる。




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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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