「日本労働運動発祥の地」~港区・芝

発祥の地の碑

港区芝2丁目、日比谷道路沿いのビルの敷地に、「日本労働運動発祥之地」と書かれた碑が建っている。

友愛会館の敷地にある

碑があるのは、友愛会館と三田会館などの入ったビル。

日本における労働運動の源流である「友愛会」が、

この地に創立されてから100年になるのを記念して、

平成24年、労働団体などの出資を受けて改築された。

碑文

碑文には、次のように記されている。

『大正元年(1912)8月1日、

この地にあった基督教ユニテリアン教会「惟一館」において、鈴木文治ら15名が「友愛会」を創立し、

それ以来、我が国労働運動は継続して発展してきた。

この故を持って、ここは我が国労働運動発祥の地であり、労働運動の主流を形成してきたところである』

この友愛会館の8階には「友愛労働歴史館」があり、「日本労働運動の100年余~友愛会、総同盟(戦前)を中心とする」という常設展が開かれていて、だれでも見学することができる。

鈴木文治は東京大学を卒業後、新聞記者となり、貧民問題に取り組んで社会事業に携わるようになる。

そして、労働者の地位向上を目指して、「友愛会」を発足させたのだった。

また、鈴木文治はクリスチャンで、大正デモクラシーの代表的論客である吉野作造の同郷(宮城県)の後輩で、終生親しくしていたという。

ユニテリアン教会があった

そして、この地にあったユニテリアン教会「惟一館(いいつかん)とは、こんな建物であった。

この建物ができるまでには多くのひとたちの協力・支援、関与があったが、その中に慶応義塾の創立者・福沢諭吉と、

日本に西洋建築技術を伝えるとともに、多くの名建築を残したジョサイア・コンドルの名前もあった。

福沢諭吉が、きっかけを作った

福沢諭吉は、明治20年、ユニテリアン教会の牧師を招聘する。

ユニテリアン教会とは、ウィキペディアによれば

「三位一体の教理を否定し、神の唯一性を強調する主義の総称。

キリストを宗教指導者としては認めつつ、神としての超越性は否定」とある。

「惟一館」という名前は、その教理に由来しているのかもしれない。

そして労働歴史館の解説では、福沢と教会との関係について

”福沢が唱えた「独立自尊」が、ユニテリアンの「人間の尊厳、進歩と発達」と類似し、自由主義で通底していた”と書かれている。

そして明治27年、芝の現在地に「惟一館」が建設される。

このため、「福沢諭吉が、友愛会誕生のきっかけを作った」と労働歴史館の常設展で紹介されている。

ジョサイア・コンドル

そして、「ユニテリアン教会」を設計したのが、明治初期のお雇い外国人の1人、ジョサイア・コンドルだった。

コンドルは、三田綱町の「三井倶楽部」、丸の内の「三菱1号館」「鹿鳴館」など数多くの名建築を設計した人物。

教会はその後、昭和5年に土地と建物が「友愛会」によって買い取られ、翌6年に改築されて「日本労働会館」となる。

「日本労働運動の100年余~友愛会、総同盟(戦前)を中心とする」の中の説明では、

”そこでは、労働学校、実費診療所、労働者アパート、簡易食堂などを経営し、労働者教育、福祉、教育などを実践してきた”

ポスター

”「友愛会」は労組非合法の時代に「労働者の人格承認」を掲げ、労働者の支持を得て組織を拡大していった。

大正10年に、「総同盟」と改称。

昭和15年7月、自主解散”

と展示の中で紹介されている。

レンガの一部

コンドルが設計した建物を改築した「日本労働会館」は、昭和20年の東京山の手大空襲で焼失。

敷地の一部には、「惟一館」で使われていたレンガ塀の一部が、わずかに残されている。

「友愛労働歴史館」の展示の中には、「惟一館」を支え、関わった人たちとして、

新渡戸稲造、賀川豊彦、永井竜太郎、市川房江などといった著名な名前が登場する。


労働運動の紹介は、複雑で説明が難しいため、紹介がごく簡単になったが、

そのあたりの歴史に関心のある方は、どうぞ見学にお出かけください。

見学は、平日の10-17時、無料です。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
スポンサードリンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR