「六日の菖蒲」と国民栄誉賞


 亀戸天神藤まつり

亀戸天神の「藤まつり」を見に行った。

「江戸の昔から知られる藤の名所」ということで、楽しみにしていた。

盛りは過ぎていた

訪ねたのは5月5日。

行くのが遅かったらしい。ポスターに見るような花の盛りは、残念ながら過ぎてしまっていた。

ごく一部を残して、大方の花は色を失いつつあった。

藤の花にちなんだことわざではないが

「六日の菖蒲(あやめ) 十日の菊」という言葉がある。

菖蒲は5月5日の端午の節句に使うものだから、6日では遅い。

菊は9月9日の重陽の節句に使うものだから、10日では遅い。

これを合わせて、時期遅れで役に立たないことの譬えだ。

あたかも5月5日は、長嶋茂雄、松井秀樹という2人の国民栄誉賞の授賞式が行われた。

長嶋、松井二人が国民栄誉賞

国民栄誉賞を日本で初めて受賞したのは、王貞治さん。

ホームラン世界新記録を達成した昭和52年のことだ。もう36年も前になる。

そのあとプロ野球関係で受賞したのが衣笠祥雄さん。連続出場記録などによって昭和62年に受賞しているから、これも26年も前になる。

日本プロ野球の歴史の中で、最高の人気者であった長嶋茂雄さんは、記録の人ではなく記憶の人であったことから、これまで国民栄誉賞の受賞のタイミングを失していた。

あのスーパースターが「六日の菖蒲」で栄誉の時期を失していたのを上手くカバーしてくれたのは、長嶋を師と仰ぐ松井秀樹氏の引退だった。

見事なチームプレイ

松井秀樹氏は、同じ日に行われた引退のセレモニーで、次のように挨拶している。

「私は、この(国民栄誉)賞をいただき大変光栄ではありますが、同じくらいの気持ちで恐縮しています。

私は、王さんのようにホームランで、
衣笠さんのように連続試合出場で、何か世界記録を作れたわけではありません。

長嶋監督の現役時代のように、日本中のファンを熱狂させるほどのプレーができたわけではありません。

僕が誇れることは、日米の素晴らしいチームでプレーし、素晴らしい指導者の方々、チームメイト、そして素晴らしいファンに恵まれたことです。

全ての方々に感謝申し上げたいと思います。

本当にありがとうございました」

私はこの挨拶を聞いて、松井さんは「長嶋さんと一緒でなければ国民栄誉賞受賞を辞退したのでは」と思った。

松井秀樹という人は、謙虚であると同時に、ベストを尽くすために常に努力をし続けてきた人物であるということが、このコメントから伝わってくる。

2009年のワールドシリーズで、日本人初のMVPの受賞という大きな勲章を手にしているが、
「世界的な記録を残したわけではない」と語っているのだ。

兄貴分でありライバルでもあったイチロー選手は、大リーグ記録を更新続ける中、これまで国民栄誉賞を2回も辞退している。

その中で、今回の二人の同時受賞。

私は、「プロの世界に入りたての頃から指導してくれて長嶋さんの受賞のお役にたてるなら」という思いが松井さんにあったのだと、思う。

人生の師と仰ぐ長嶋さんへの、松井さんの見事な恩返しだったと思う。

お父さんのコメント

お父さんのコメントもよかった。

野球を始めた子供のころから、「バットスイングをしないで寝ることは殆んどなかった」など、

これまで、野球に一生懸命に取り組む息子の姿を見続けたお父さんは

「自分の子供というより、一人の男として『ああ いいな』と思って見てきました」と語っていた。

こんなコメントが云える親子関係は、素晴らしい。

最後に一言、

私は、野球ファンだが、特に巨人を応援しているわけではない。

松井さんが石川の星陵高校の強打者として注目され始めた頃、石川県に暮らしていたというだけの縁で、これまでずっとその活躍を注目してきた。

その中で、特に印象的だったのは、試合後のインタビュウだった。

謙虚でありながら前向き、かといって堅苦しくなくユーモアも忘れない。

野球を通して、自らの内面を高める求道者のような受け答えに感心させられることも何回かあった。


これからも、松井さんの活躍に期待したい。
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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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