信長の夢のあと~安土城

安土駅前

加賀温泉郷マラソンの翌日、織田信長が築いた壮大な城・安土城を訪ねた。

東海道線の安土駅は乗降客の数も少なく、時が静かに流れているような印象だった。

荷物を手にして安土城を目指すにはやや距離があるので、駅前のレンタサイクルを利用することにした。

空撮の城

安土城は標高199メートルの安土山に築かれた城で、信長の天下布武を象徴するものでもあった。

信長の居城だった岐阜城よりも京に近く、京への要衝に位置する場所でもある。

現在では琵琶湖岸の干拓が進んで周りに農地が広がっているが、創建当時は琵琶湖岸にも近く、水運も利用できたのだという。

大手道

駅から自転車で10分ほどかかっただろうか。

国の特別史跡・安土城の入り口のところにやってきた。

この道が「大手道」、ここから急な石段が山頂の天主台まで長々と続いていた。

入り口には、歩く手助けに杖が置いてあり、自由に利用することができる。

石段をしばらく上ると、左と右に屋敷のあった址が見えてくる。

羽柴秀吉邸址

左側のこの場所には、豊臣秀吉の屋敷があったと伝えられている。

大手道を挟んで右側は、加賀百万石の祖・前田利家の屋敷址だ。

山の斜面を切り開いた土地なのでそれほど広そうには見えないが、意外に大きな建物が建っていたようだ。

再現予想図

秀吉邸復元図を見ると、斜面を何段も利用して、かなり大規模な館が建っていただろうことが想像される。

お向かいの前田利家邸も似たようなものであったに違いない。

前田利家邸の上方には、徳川家康の屋敷があったと伝えられている。

こうした屋敷の配置を見ても、信長が戦国の覇者であったことがうかがえる。

石仏を石段に

山の中に壮大な城を築くために、膨大な量の石が使われている。

石段の中には石仏を利用したものもあった。

いかにも、比叡山の焼き討ちなど神仏を恐れる様子が感じられない信長の城だ。

森蘭丸邸

天主に行く途中、信長の次男・信雄と信長側近の森蘭丸の屋敷跡があった。

安土城では、山頂の天主に信長が起居していた。

家族と選ばれた側近が、天主の下の本丸、二の丸、三の丸で生活していたという。

下からここまで登ってくるのは、健脚でもなかなか疲れる。

足腰の弱い人だと、大変だっただろうと同情してしまう。

信長の廟

二の丸には、信長の廟があった。

本能寺の変のあと、秀吉の手によって、ここに廟が作られた。

天守台

そして山頂には天主跡が残っている。

壮麗な5層6階建ての天主は、本能寺のあと焼け落ち、以来再建されることはなかった。

現在残るのは、天主の建物を支えた礎石だけだ。

地下1階部分

礎石が見える部分は天主の地階で、周囲の石垣の高さが天主の一階の高さになる。

そこから5層6階の天主が建っていたというから、地階を合わせると7階建ての建物になる。

さすがと思わせる規模だ。

5層6階

最上部を7分の1のスケールで再現した模型。

信長という人物のスケールの大きさが窺える。

天守からの眺望

天守からの眺め。

琵琶湖を隔てて、比叡の山並みも見ることができる。

安土城年表

信長が安土城の築城を命じたのは1576年。

信長が正式に安土城「天主」に移ったのは3年後の1579年。

その3年後の1582年(天正10)6月2日、明智光秀は京都・本能寺に信長を襲撃。

光秀は6月5日に安土城に入るも、同13日、秀吉が山崎合戦にて光秀を破る。

15日、安土城の天主炎上、焼失。

とあるから、築城を命じてからわずか6年で天守は焼け落ちてしまった。

麦秋も近い

城跡の前の畑では、青々と育った麦が初夏の風を受けてそよいでいた。

JR安土駅に戻り、1時間に2本の電車の到着を待ちながら、売店の主人と雑談をしていると

「『本能寺の変』がなければ、このあたりはずいぶん今とは違っていたはず」と、店主がポツンと言った。

歴史に「たら」「れば」はないのは承知している。

でも、

「光秀の謀反がなけれは、安土は日本でも有数の大都市になっていたかもしれない」。

静かな安土の街並みを見ながら、ふと考えてしまった。

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め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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