豪徳寺と松陰神社~松陰と桂太郎


前回、井伊直弼が眠る世田谷の豪徳寺を紹介した。

今回は、豪徳寺のすぐ近くにある「松陰神社」を紹介したい。

吉田松陰は、井伊直弼による「安政の大獄」で刑死した人物。幕末の大事件の当事者が、ごく近くに眠るのも歴史のいたずらと言えるのかもしれない。

松陰神社

正月、世田谷の松陰神社を訪ねると、神社周辺は初詣での人達で賑わっていた。

井伊直弼の菩提寺・豪徳寺と数百メートルほどしか離れていない。神社の由来

神社入り口の由来には、”吉田松陰が江戸・小伝馬町で30歳の若さで刑死した4年後、松陰門下の伊藤博文などによって、長州毛利藩主の所領だったこの地に改葬し、神社を創建した”旨が書かれている。

松下村塾を模したもの

神社の本殿の横には、松陰が多くの維新の志士たちを教えた「松下村塾」を再現した建物がある。

山口県・萩の松陰神社内に保存されている「松下村塾」の建物を模して作ったものだ。

塾生たち

建物の前には、「松下村塾」で学んだ多くの人物の名前が紹介されている。

高杉晋作、伊藤博文、久坂玄瑞のほかにも、木戸孝允、山縣有朋といった名前があった。

教育理念

はじめは八畳一間からはじまった塾だったが、塾生が増えて十畳半の増築が行われた。

松陰が塾生を教育したのは通算2年半ほど、薫陶を受けた塾生は90名前後に上るという。

床の間には「多くの書物を読むこと」「労苦をいとわないこと」を書いた、こんな聯がかかっていたという。

吉田松陰

幼くして山鹿流兵学師範を務める吉田家を継いだ松陰は、早くから軍学などの学問を修めた。

ペリー率いるアメリカの東インド艦隊が浦賀に来航すると、松陰は国防に対する幕府の不備を強く認識するとともに、列強から日本を守るためには西洋先進国を知ることが必要だと海外渡航を決心する。

嘉永7年(1854)、下田沖に停泊するぺリーのアメリカ艦で密航を企てようとして失敗。
自首して江戸・伝馬町の獄に送られる。

その途中、高輪泉岳寺付近で、次の有名な歌を詠んだと伝えられる。

「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」

その際、6か月間の入獄のあと、謹慎の身となって萩に帰り、叔父の開いた「松下村塾」で子弟の教育に当たる。

そしてその間に、幕府が勅許なく日米修好通商条約を結ぶと激しく非難、老中暗殺計画を立てるが、実行に移すことはなかった。

しかし、のちに安政の大獄に連座して再度、伝馬町獄に入牢することになる。

松陰の墓

取り調べの中で、松陰は老中暗殺計画を告白。

死刑を覚悟した松陰が家族にあてた「永訣書」の中に書き記した一首は、よく知られている。

「おや思ふ心にまさる親ごころ けふのおとづれ 何と聞くらん」

処刑後、小塚原回向院(東京都荒川区)の墓地に葬られたが、文久3年(1863年)に高杉晋作ら攘夷派の志士達によって、この地に改葬された。

鳥居

墓所に通じるこの石の鳥居も、木戸孝允が奉納したものだ。

そして、松陰神社を出て歩いていると、神社の隣りに墓所があり、説明板が立っているのが目についた。

桂太郎墓所

「桂太郎先生墓所」とあり、「桂太郎」についての説明が書かれていた。

桂太郎は、明治から大正にかけ首相として3度組閣し、在任期間2886日は歴代首相として最も長い記録を持つ人物。

桂は松陰を敬慕していた。

桂太郎肖像

桂太郎(1848~1913)は、萩で長州藩士の家に生まれた。

松陰が刑死した時、桂は数え年で13歳だったため松下村塾に入門はしなかった。

しかし叔父が松下村塾のスポンサーであったため、そののち木戸孝允などに目をかけてもらう幸運に恵まれる。

プロシャに留学して兵制を学び、陸軍に入って明治陸軍建設に大きな役割を果たす。

陸軍大臣を務めたあと明治34年には首相に就任。

日露戦争に勝利した時の首相は、桂太郎だった。

桂は、首相就任前年の明治33年(1900)、拓殖大学の前身である台湾協会学校を設立した人物でもある。

案内板の最後に、こんな説明が書いてあった。

『遺言により、松陰霊域に接して、当所に葬った』

松陰の近くで永久の眠りにつきたいという桂太郎。

桂もまた、松陰を自らの師として敬慕する者のひとりであったのだろう。
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め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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