「江戸前」を釣る人たち

都心の水辺や海辺を走っていると、このところ釣り人を多く見かける。
ここは、隅田川に近い清洲橋の近く。
ちょうど、ハゼを釣り上げたところに出会った。

いい形をしたハゼが3匹ほど連れていた。
昭和30年代の隅田川をご存知の方だと、この川で釣れた魚を食べることに抵抗があるかもしれない。
隅田川には、付近の工場から排水が流れ込み、深刻な公害問題を抱えた時代があった。
しかし、今から40年余り前に、工場排水を川に流すことが禁止となり、少しずつ、川の水はきれいになってきた。
しかし、公害問題が起きる前の隅田川は白魚が住み、水遊びができるきれいな川だったというから、まだ完全に元の川に戻ったとはいえない。
でも、この人は、てんぷらにして食べる予定だと話していたから、特に抵抗はない様子だった。

ここは中央区晴海の住友トリトンスクエアの近く。
隅田川とつながる朝潮運河に架かる橋の上で釣りをしている人がいた。

ここでも、ハゼが連れていた。
2時間ほどで10匹余りの釣果だという。
「江戸前の魚」という言葉がある。
文字通り、江戸の前浜で獲れる魚のことだ。
アナゴ、マコガレイ、スズキ、サバ、キス、コハダ、シャコ、それにこのハゼが代表的な魚だ。

ここはお台場の青海埠頭。
コンテナ船の荷揚げ埠頭のすぐ隣に公園がある。
コミックの主人公になりきって派手な衣装に身を包んだ若者たちが、あちこちで記念写真をとっていた。(写真左隅に写っている)
そして、ここでも投げ竿が何本も海に向かって並んでいた。

ナイスコントロールで、ポイントに投げ込む。
こうやってこのあたりの風景を見ていると、30年前に暮らしていて、よく釣りに行った福岡港とよく似ている

上の魚はキス、下の魚はコノシロの若魚であるコハダの様だが違うかもしれない。
ともあれ、これだけたくさんの釣り人が訪れるということは、そこそこの釣果があるからだろう。

ところが転落防止用の鉄柵に、こんなポスターが掲示されていた。
アオブダイによる食中毒で、1953年以降5人の方が亡くなっているということで、最近の事故を受けて注意を促しているのだろう。
この魚の中毒を防ぐには、「食べることを避けるしか方法がない」ということだから、恐ろしい。
江戸前の魚以外の知らない魚が連れたら、食べずに処分したほうがよさそうだ。
釣りを楽しめるということは、一定の自然が残っているということ。
その意味で、大都会東京で釣りを楽しむ人がたくさんいることはうれしいことだが、未知の魚にはくれぐれもご用心を。
スポンサーサイト