忠臣蔵の現場~「南部坂 雪の別れ」は創作だった。

南部坂

忠臣蔵の名場面「南部坂 雪の別れ」の舞台は、ここ港区の南部坂。

溜池から六本木、渋谷に向かう六本木通りの右手、赤坂と六本木との境にある人通りの少ない静かなところにある。

”内蔵助は討ち入り前日、浅野内匠頭の妻・瑤泉院を訪ねる。

討ち入りの報告をするつもりが、吉良の間者を憚ってその報告ができず、屋敷を後にする内蔵助”

忠臣蔵のハイライトの一つだが、
瑤泉院が住んでいた屋敷が南部坂近くにあったというのだ。

坂に隣接してアメリカ大使館の施設

南部坂は小さい坂ながらとても趣のある坂で、左に石垣が見える内部は、米国大使館宿舎となっている。

平日の日中に行ったが、坂を歩く人の姿は余り多くなかった。

この付近に、瑤泉院が刃傷事件後に住んでいたというのは事実だが、内蔵助が瑤泉院を討ち入り前日に訪ねたというのは、後世の創作だという。

氷川神社

坂を上ってすぐの交差点を左に進むと、氷川神社が見えてくる。

神社ができる前、ここには瑤泉院の実家である備後三次藩の屋敷があった。

刃傷事件後、お家取りつぶしになってからすぐ、瑤泉院はここにあった屋敷に引き取られたという。

案内

境内にこんな案内立札が立っている。

材の一部が朽ちて読みにくくなっているが、
「瑤泉院の実家である浅野土佐守の屋敷がここにあり、瑤泉院は事件後ここに住んでいた。
世に”南部坂雪の別れ”と広く伝えられたのは、この場所なのである」というようなことが書いてある。

しかしウィキペディアによれば、それは事実でないとして、次のように書かれている。

「『南部坂 雪の別れ』は、『忠臣蔵』など元禄赤穂事件を題材にした創作作品によく描かれるシーンだが、事実ではない。

浅野家改易後に大石が瑤泉院に拝謁したのは、討ち入りからだいぶ前の元禄14年11月14日(1701年12月13日)の一度のみだった。
これは、大石が瑤泉院の結婚時の持参金を、浅野家の家名再興や討入りの運動資金として使用し、討入り直前にその収支決算書を瑤泉院の用人・落合勝信に提出したことが元になっているようである」

境内の礎石

神社境内には、以前ここに建物が建っていたと思わせる礎石が見える。

もしかすると瑤泉院が暮らしていたという屋敷が、ここに建っていたのかと想像してしまう。

しかし、それは確かめたわけではなく、私の思い付きに過ぎない。

講談やドラマの中で、
内蔵助が吉良方に情報が漏れるのを防ぐため、討ち入りのことを切り出せず「西国の大名に召し抱えられることになり今後お目にかかることはない」と言ってお暇しようとすると、瑤泉院は怒りを隠せない。

瑤泉院は、そんな気丈な性格というイメージだった。

実際も、ただ手をこまねいているだけでなく、事態に自ら対応しようとする人物であったようだ。

大イチョウ

ウィキペディアには、こんな話が載っている。

「瑤泉院は赤穂の塩田から上がった運上銀を大石に託し、彼ら(赤穂浪士)の生活を陰ながら支えた。
吉良を討ち取った後、幕命により切腹となった赤穂浪士の遺児たちのうち、伊豆大島へ流された吉田伝内・間瀬定八・中村忠三郎・村松政右衛門の赦免運動にも尽力し、宝永3年8月(1706年9月)将軍家綱の二十七回忌の機に、前年に病死した間瀬を除く3名の恩赦を実現させた」

氷川神社境内にある大イチョウの推定樹齢は400年。

瑤泉院がここに移り住んだのは1701年だから、今から300年余り前のこと。

瑤泉院がここに暮らしていた頃、このイチョウはすでに100年近い樹齢を数えていた。

瑤泉院も、このイチョウをきっと目にしていたことだろう。

瑤泉院が亡くなったのは、3名の恩赦を実現させた8年後、まだ数えで41歳の若さだった。

墓は泉岳寺の浅野長矩、義士たちの墓の近くにある。


尚、余談が二つある。

一、幕末から明治はじめにかけて勝海舟は、この神社の近くに住んでいた。

勝海舟語録「氷川清話」の氷川はここから来ている。

二、歌手「氷川きよし」の芸名は氷川神社に由来する。

名付けたのはビートたけし。

氷川神社は、たけしがバイク事故にあった時、母が回復を願ってお参りした神社ということで、下の名前は本人の本名とのことだ。
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め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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