「昭和」という時代~憲政記念館


憲政記念館

国会議事堂のすく近くにある「憲政記念館」。

1890年(明治23)に議会が開設されたのを記念して、1972年に開館した。

目的は、「議会制民主主義の認識を深めること」にある。

場所は千代田区永田町1-1-1、元彦根藩・井伊家の上屋敷があった所だ。

特別展

館内では、ちょうど今、特別展「昭和 その動乱の時代~議会政治の危機から再生へ」が開かれている。

ちょっとタイトルは堅いが、これが意外に興味深い展示となっている。

議会政治が、暗殺や軍部などの圧力で危機を迎えた戦前の昭和を中心に、時の内閣、議会の要人の日記や書、演説の録音など、貴重な資料が多数展示されている。

展示内容を理解するには、あの時代に関する一定の知識が必要で、自分もそのあたりは十分とは言えない。

しかし、第一級の資料の迫力によって、時代の空気はひしひしと伝わってきた。

昭和4年、世界不況の真っただ中に発足した浜口内閣は、「対中宥和、対欧米協調,経済再建」を柱に据える。

しかし、ロンドン軍縮条約の批准を巡り、譲歩しすぎとの批判が起きる中、浜口雄幸首相は東京駅構内で暴漢にピストルで襲われ大怪我をする。

犯人は、「統帥権干犯」だとして憤激する右翼の青年だった。

浜口雄幸は狙撃された時の様子を日記に書き残しているが、その日記が展示されていた。

「音ガシタト思ウタ一刹那、自分ノ下腹部ニ異常ノ激動ヲ感ジタ」と生々しく書かれている。

除名通知

これは、昭和15年2月2日、衆議院本会議で「反軍演説」をしたとして除名された、民政党・斎藤隆夫に対する除名通知。

つまり、議員資格をはく奪する処分通知だ。

斎藤は、戦前、衆議院議員として帝国議会で軍部やファシズムに抵抗する演説をした人物として知られる。

「反軍演説」は1940年(昭和15)2月2日の帝国議会で行われた。

その一部を抜粋するとこういう内容だ。

”即ち人間の慾望には限りがない、民族の慾望にも限りがない。国家の慾望にも限りがない。屈したるものは伸びんとする。伸びたるものはさらに伸びんとする。ここに国家競争が激化するのであります。
なおこれを疑う者があるならば、さらに遡って過去数千年の歴史を見ましょう。世界の歴史は全く戦争の歴史である。現在世界の歴史から、戦争を取り除いたならば、残る何物があるか。
そうして一たび戦争が起こりましたならば、もはや問題は正邪曲直の争いではない。是非善悪の争いではない。徹頭徹尾力の争いであります。
強弱の争いである。強者が弱者を征服する、これが戦争である。正義が不正義を贋懲する、これが戦争という意味でない。

今回の戦争に当りましても相変らず正義論を闘わしておりますが、この正義論の価値は知るべきのみであります。つまり力の伴わざるところの正義は弾丸なき大砲と同じことである。(拍手)羊の正義論は狼の前には三文の値打もない。ヨーロッパの現状は幾多の実例を我々の前に示しているのであります。

 かくのごとき事態でありますから、国家競争は道理の競争ではない。正邪曲直の競争でもない。徹頭徹尾力の競争である。(拍手)世にそうでないと言う者があるならばそれは偽りであります、偽善であります。我々は偽善を排斥する。あくまで偽善を排斥してもって国家競争の真髄を掴まねばならぬ。国家競争の真髄は何であるか。
曰く生存競争である。優勝劣敗である。適者生存である。適者即ち強者の生存であります。強者が興って弱者が亡びる。過去数千年の歴史はそれである。未来永遠の歴史もまたそれでなくてはならないのであります。(拍手)

 この歴史上の事実を基礎として、我々が国家競争に向うに当りまして、徹頭徹尾自国本位であらねばならぬ。自国の力を養成し、自国の力を強化する、これより他に国家の向うべき途はないのであります。

この現実を無視して、唯徒(ただいたずら)に聖戦の美名に隠れて国民的犠牲を閑却し、曰(いわ)く国際主義、曰く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、斯(かく)の如き雲をつかむような文字を列べたてて、そうして千載一遇の機会を逸し、(野次)国家百年の大計(野次)を誤るようなことがありますならば、(野次、怒号)現在の政治家は死しても其の罪を滅ぼすことはできない”


現在の視点からすれは、除名されるほどの内容とは思えない。

しかしあの時代では、この演説を以って反軍演説であるとされ、除名処分となった。

衆院議員バッジ

憲政記念館には、議場内部の様子を再現したセットや関連備品なども展示されている。

これは、衆議院の議員バッジ。

総選挙後、国会議事堂に初登院した議員は、この議員徽章の交付を受ける。

首相投票用紙

そして、これは「内閣総理大臣指名投票用紙」。

今度の選挙後、この用紙に書かれる名前で一番多いのは一体誰なのだろうか。

本会議場演壇

この風景は、よくテレビでも見る風景だ。

衆議院本会議場の演壇が、実物の4分の3の大きさで作られている。

演壇

実際、演壇に立ってみた。

見渡す議員席は少ないが、議場の雰囲気は多少は分かった。

あと1か月後に決まる新しい衆議員議員は、一体どんな志を持ち、国会の中でどんなことを問い、どんなことを決めてゆくのか、

「関心を持って見守らなければならない」と思う。

チラシの案内

特別展は11月いっぱい、休みなしで開かれる。

時間は午前9時30分から、午後5時までだ。
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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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