青山霊園で見かけた墓碑②~外人墓地で


外人墓地

青山霊園の真ん中を通る道の途中に、「外人墓地」の一角があり、そこには説明板が建っている。

外人墓地の歴史の看板

説明によると、「明治10年、築地居留地などに住む外国人の墓地を青山霊園に設けることが決まり、幕末から明治にかけて、教育や工学など様々な分野の基礎を作り、日本の近代化に大きく貢献された人や、その家族が多数、埋葬された。
縁故者が帰国し、管理者がいなくなった所は東京都が管理している」ということだ。

歴史の説明

「青山霊園外人墓地 お墓の縁者捜索プロジェクト」という団体のホームページによると、この外人墓地には210基の墓があり、中には縁者との連絡の取れないところもあるとのことで、「無縁仏にしないために何か情報があれば連絡してほしい」と呼び掛けていた。

埋葬者の名前

東京都が設置した案内板には、ここに葬られている一部の外国人の名前と墓所が、紹介されている。

その中には、3代にわたって日本で暮らし、医学や教育分野で活躍したイーストレーキ家の3人の名前がある。

近代歯科医学の発展に貢献したウィリアム(1834-1887)、
23か国語に精通し、日本の英語教育の父と呼ばれたフランク(1856-1905)、
慶応大学教授として教鞭をとったパスカル(1888-1954)と、3世代に亘る家族だ。

また、北海道畜産の父と呼ばれるエドウィン・ダンと息子でピアニストのジェームス・ダンの名前もある。

キヨソーネ

イタリアの銅版作家で、明治天皇や、西郷隆盛などの肖像画を描いたキヨソーネの墓もある。

キヨソーネは、日本初の人物の肖像が入った紙幣・神宮皇后札で、神功皇后を描いた人物でもある。

肖像は,外国女性の面影を色濃く残すもので、中央区日本橋の日本銀行貨幣博物館で実物を見ることができる。

ジョゼフ彦

アルファベットが並ぶ外人墓地の中で、墓石に漢字が刻まれているものがあった。

墓碑銘が「浄世夫彦墓」と書かれている。

ジョン万次郎と同じように、漂流を経て数奇な人生を送った「ジョセフ彦」の墓だ。

ジョセフ彦蔵(1837-1897)は、本名が浜田彦蔵。

現在の兵庫県播磨町に生まれ、13歳の時船に乗っていて海難に遭い、太平洋を漂流。

南鳥島付近でアメリカの商船に救助され、アメリカから日本に帰還する途中、香港から再度アメリカに戻ってしまう。

それは、開国を求めて日本に向かうペリーの船に乗って帰国することになっていたので、アメリカの外交カードにされる懸念があり、それを嫌ったためという。

彦蔵は税関長のサンダースという人物に引き取られ、ボルチモアで学校教育を受け、カトリックの洗礼も受けた。

1858年、彦蔵は日米修好通商条約で日本が開国した事を知り日本への望郷の念が強まったが、キリシタンでは帰国することはできないので、帰化してアメリカ国民となった。

洋装姿

翌1859年、彦蔵は駐日公使・ハリスに、神奈川領事館通訳に採用され、9年ぶりに帰国する。

ところが尊王攘夷で身の危険を感じ、一旦はアメリカに戻ってしまう。

1862年、再度アメリカ領事館通訳として日本に戻るが、その翌年に通訳を辞め、外国人居留地で商売を始める。

日本初の新聞を発行

1864年、英字新聞を日本語訳した「海外新聞」を発刊する。

これは日本で初めての日本語による新聞だった。

しかし、赤字で数か月後には廃刊となってしまう。

その後、明治2年(1869年)には大阪造幣局の創設に尽力。その後は大蔵省に務めて国立銀行条例の編纂に関わったり茶の輸出、精米所経営などを行なった。

明治30年(1897年)12月12日、心臓病の為東京の自宅にて61歳で死去。

日本人に戻る法的根拠が無かったことから死後、外国人として青山の外国人墓地に葬られた。

結局、禁教であるキリスト教の洗礼を受けたためにアメリカに帰化し、外人墓地に眠っている彦蔵。

墓の片隅に

ジョゼフ彦の墓の一角に「高田銀子の碑」と書かれた石板が建っていた。

碑文を読むと、高田銀子という人は、彦蔵の妻だった人のようだ。

昭和31年に関係者の尽力によって、田端・大龍寺から改葬し、亡夫の墓側に埋葬したと書かれている。

ジョゼフ彦とその妻・高田銀子。

数奇な人生によって、「日本人ながら外人墓地に眠ることになった二人」ということなのだろう。
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JR深名線路線バス乗務員
プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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