久しぶりに見た「バナナの叩き売り」

バナナの叩き売り

9月16日、芝大神宮の例大祭。

神輿の連合渡御が行われるので、神輿よりひと足早く神社の境内に行くと、昔懐かしい「バナナの叩き売り」をするおじさんがいた。

格好はダボシャツに腹巻、ソフト帽にサンダル履き。

顔は、「高島政伸を少し崩して、老け顔にした感じ」だ。

机の下には、寅さんが持っていたカバンと同じカバンが見える。

盛んに口上を述べて、周りのお客さんというか観客に話しかけている。

バナナを売ってしのぎとするには、商品のバナナが少ない気がする。

見えているバナナが、商品の全てのようだ。

手作り看板

手書きの看板も味があっていい感じだ。

わざと脱字で書いているのだろうか。

映画の中の寅さんも、下手な文字でハガキを書いていたのを思い出す。

結局このバナナ、1本20円もしない値段で売り切れたが、渥美清の寅さんと比べると、失礼ながら声量・メリハリ・テンポともに、現在修行中といった感じだった。

とはいえ、お客さんは多数いて、楽しそうに見ていた。

紙芝居

そして、次に登場したのは「紙芝居」。

タイトルは「不如帰」、徳富蘆花原作で明治期屈指のベストセラー。

浪子と武男の悲恋物語で、「千年も万年も生きたいわ」という浪子の文句が有名だ。

あまり、今日受けする話ではないと思って聞いていた。
その上、更に悪条件が重なった。

時々、神社のスピーカーに祭りの予定が流れ、語り手の腰を折るのだ。

「この騒がしい中でかわいそうに」と同情しながら聞いていたせいか、ストーリーが頭の中に入ってこないうちに終わってしまった。

バイオリン弾き

次に登場したのは「バイオリン弾き」。

お客のリクエストに応えて、リストにある昔懐かしい曲を歌うというもの。

対象とする世代は、かなりの高齢層だと思うが、この時、眼前にいたのは、小学校に入ったばかりかどうかという幼児2人と私。

子供は水鉄砲を持ち、演奏者に水をかけようとした。

すると、この人は、「バイオリンには水をかけないでね、袴など下にかけてもいいよ」と話しかけていた。近くにいた親と思われる人は、子供を制止するわけでもなく黙って放任していた。

芸人さんは子供たちを厳しく叱ることもできず、こうして雰囲気を壊すことなくパフォーマンスを続けてゆく。
芸人さんたちの苦労の一部が少し分かった気がした。

後で、「巣鴨のお地蔵さん(高岩寺)でお会いしたような気がしますが」と話かけると、「確かにそこで歌った経験もあります」とのことだった。

神霊護符売り

そして最後に登場した人は、この人。

薬草売りの幟が見える。

どこかで見かけた顔だと考えていたら思い出した。

今年の5月5日に、西銀座通りで開かれた「ヘブンアーティストin 銀座」にも出演していた人だった。

その時は、一本足の高下駄を履いて山伏姿。「神霊護符売り」のパフォーマンスをしていた。

このあと家に帰ってから調べると「角 福請(かど ふくせい)さんといって、東京都公認のヘブンアーティストであることが分かった。

この時、お客さんというか観客は私一人、人が少なくてかわいそうになり、ここを離れることもできない。

角さんが自分の写真を撮りたいというのがわかったから、彼のデジカメを預かり、シャッターを何枚か押してあげた。

しかし、この時になると、渡御の神輿が境内に近づき、盛んにマイクで案内が放送される。

ついに、途中で営業は断念。

結局、角さん得意の、石をくくりつけた長い棒を気合と共に立ててしまうという技を見ることはできなかった。

マイクや机の片付けの手伝いをしながら、「以前、銀座でお見かけしました」と話しかけると、「あ、5月5日ね」とすぐに答えが返ってきた。

「今日は、4人ひと組で来たのですか?」と尋ねると、

「私たちは、大道芸研究会というのをやっていて、今日は全部で4つの組が都内各地の祭りなどに出かけているんです」と話し、場所の名前を一つ一つ上げてくれた。

家でネットを検索してみると「大道芸研究会」のホームページがあった。

そこには、「大道芸を研究しながら、その保存、伝承、発展を目的に活動している会」とある。

メモ発見

そういえば、机の上にこんな紙が貼ってあった。
「バナナの叩き売り」のものだ。

いわば、パフォーマンスの進行台本といったところだろう。

これを見て、教育実習を思い出した。

大道芸を愛する人達の現地研修ではないかと思ったのだ。

我が身を通じて、その保存を図ろうとする気持ちを、このペーパーの中に見たような気がした。

現在、会員は40名。誰でも入会できるということだ。

会の案内を見ているうちに、大道芸を伝承する厳しさと共に、芸をする楽しさも味わえそうな気がした。

今後のイベント予定も乗っているので、興味のある方は、覗いてみてはいかがでしょう。

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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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