北緯43度美術館

道の駅「阿寒丹頂の里」

釧路から阿寒湖に通じる国道240号(通称まりも国道)にある道の駅「阿寒丹頂の里」。

釧路から距離にして約40キロ、ちょうど阿寒湖畔までの半分の距離のところにある。

昔、昭和40年代の北海道の夏は「カニ族」「ミツバチ族」であふれていた。

「カニ族」とは、大きなリュックを担ぎ、列車内では横歩きをしないと歩けなかったことからの命名。

「ミツバチ族」は、バイクに乗ってぶんぶんとエンジンを響かせ、ヘルメット姿が蜂のように見えたことからの命名だ。

今、カニ族は姿を消したが、バイクで道内を旅行する若者たちの姿は、時折見かける。

昔、この時期にバイクを乗っていると、ミツバチ族とすれ違うたびに手を挙げて挨拶するので、手が疲れたことを思い出す。

バイクの後ろに見える黄色い建物が、「北緯43度美術館」だ。

釧路~阿寒湖間の真ん中

ちょうど北緯43度線上にある。

昔、ビールのCMの文句に「ミュンヘン、札幌、ミルウォーキー」というフレーズがあったのを覚えている方も多いだろう。

北緯43度線は、うまいビールの産地がある緯度でもある。

この美術館のコンセプトは、北緯43度線上にある世界の国々の優れた作品を集めて紹介しようというものだ。

北緯43度線之国々

43度線上にある様々な国、様々な気候・風土、そして、そこから育まれる芸術家の感性を、作品の中から感じてもらおうというのだ。

北緯43度線というと、日本ではかなり北国の印象だが、ヨーロッパでは南国のイメージが強いスペインの北部、フランスでは南仏が、その線上にある。

アンディ・ウォーホル

展示作品の一部を見てみよう。

アメリカ合衆国は、アンディー・ウォーホルの作品「フラワー」。

ポップアートの旗手であり、鮮やかな色彩が印象的だ。

アメリカの作家としては、このほか、現代の抽象絵画を代表する作家のひとりであるフランク・ステラの作品も展示されていた。

ミロ

スペインは、ミロの作品「月への登攀」のほか、ダリの作品もあった。

モンゴル

これはいずれも、モンゴルの作家「ニャム・オソリン・ツルテム」の作品。

アメリカや、ヨーロッパの作品を見る機会は多いが、モンゴルのものを見るのは初めてだ。

右は中世の英雄「チンギス・ハーン」、

左は近世、中国やロシアの影響の下、モンゴル独立へ向けての歴史の一場面を描いたものだ。

ブルガリア

これはブルガリアの女性作家の作品。

新しい感覚を取り入れた宗教画といえるだろう。

館内に展示している作品は43度線上の国々を訪れたり、大使館に交渉したりして、作品を集めてきたものだという。

この作品は、たまたまブルガリア大使館を訪れた際、館内に飾ってあったものを見て気に入り、是非にと言って譲ってもらったものだという。

館長夫妻

実は、「北緯43度美術館」の宮田館長ご夫妻は、私の古くからの知り合い。

40年の長きに亘っておつきあいをしていただいている。

ほぼ毎月、東京の一流オークションに参加していて、美術についての知識はとても深いものがある。

機会がある度に、いろいろ話を聞くのだか、これがまた楽しい。

そして、話も実にうまいし、話好きでもある。

道東に行く機会があれば、ぜひ立ち寄って、北国の風土と美術について話を聞いてみてほしい。

喜んで、話してくれるはずだ。

佐々木栄松美術館に

一つ、お伝えしなければならないことがある。

「北緯43度美術館」として開いているのは、今年の11月いっぱいまでの予定だ。

このほど「釧路湿原美術館」の設立を目指してきた団体に建物を引き継ぐことが決まったのだ。

美術館を個人の力で維持・運営してゆくのにはとても大変なことだが、これまで15年間もの間、全国からこの地を訪れる美術ファンに情報を発信してきた。

道内の各地から、閉館を惜しむ声が様々届いているという。

建物を引き継ぐ「釧路湿原美術館」は、湿原の画家と言われた佐々木栄松の作品を常設展示する美術館で、運営主体はこちらも個人が集まった設立委員会で、自治体ではない。

来年の初夏にオープンする予定になっている。

これまでの北緯43度美術館の歩みも参考にしながら、道東の文化拠点の一つとして、確かな歩みを続けていってほしいと思う。
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北緯43度美術館のこと

 ここ一年ほどはこのブログを覗く事から私の一日の仕事は始まります。毎日紹介される港区周辺の出来事や古跡の謂れなど、遠く北海道に住む私でも実に楽しく、時には目からうろこの薀蓄を傾けてくれるのがうれしく愛読しています。今回は私の美術館を紹介頂き有難うございます。ブログにもあるように12月には「釧路湿原美術館」に譲渡する事になり、15年にわたり地域の皆様に親しまれご愛顧いただいてきた北緯43度美術館は11月末で閉館する事となりました。来年夏オープンする「釧路湿原美術館」は当館とはひと味違った魅力ある美術館です、当館同様変わらぬご支援のほどを御願い致します。ご興味のある方は二館のHPを覗いて見てください。おわりに、カメちゃんがいつまでも健康で走り続けこのブログが末永く続くことを心から祈念致します。

これからも一層のご活躍を

税金で運営する美術館ですらそれなりの苦労があるのに、個人の力だけで企画・運営をして15年間も維持してきた努力と苦労に改めて拍手を送ります。これからも、何らかの形で道東からの文化情報の発信を続けてほしいなと思っています。どうぞよろしく。
プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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