5月12日はマッチの日


亀戸天神

江東区にある亀戸天満宮。

「藤の花はまだ残っているのでは」と期待して行ったのだが、花はすでに終わり、新緑がこんもりと盛り上がっていた。

今日は、亀戸天満宮の本殿の横に建つ一つの顕彰碑を紹介したい。

清水誠の顕彰碑

これがその碑。
国産マッチの創始者・清水誠(弘化2年・1845-明治32年・1899)の事蹟を顕彰するものだ。

実は清水誠の顕彰碑は、石川県金沢市の卯辰山の頂上付近にもある。

金沢で6年間暮らしたので、ジョギングで何回となく卯辰山に上り、その際に清水誠の顕彰碑を見る機会があった。

「金沢藩士で国産マッチを作った人」として、その名前は知っていた。

だから亀戸天満宮で、この碑を見つけた時は、旧知の人に会ったような気がした。

清水誠とマッチの関係は、日本燐寸工業会などが運営する「マッチの世界」というサイトに、次のように書かれている。

清水誠


「明治2年(1869)に金沢藩の藩費でパリに留学した清水誠は、明治6年(1873)には廃藩置県で文部省留学生となり、同年フランスの工芸大学に入学している。7年に外遊中の宮内次官・吉井友実とパリのホテルで会談した際、吉井が卓上のマッチを指さして『このようなマッチまで輸入に頼っているが、外貨不足の際これを日本で作れないだろうか』と言われて、清水誠はマッチを日本で製造する決心をしたといわれている。

清水誠は官費留学生であったことから、8年に海軍造船官として横須賀造船所に勤務した。その傍ら、暇ある毎に東京に出て芝三田四国町にある吉井友実の別邸を仮工場としてマッチの製造を始め、試売している。従って日本におけるマッチを工業的に製造を始めたのは明治8年(1875)となる」

国産マッチが誕生したのは、わが故郷・芝だったというわけだ。

有名なアンデルセンの「マッチ売りの少女」が出版されたのは1848年、明治維新の20年ほど前になる。

人類は火を手に入れ、自由にすることで、文明は大きく進歩してきたといわれる。

「マッチ売りの少女」が出版された江戸の末期、日本では、まだマッチは普及していなかった。

火打石を使って火を起こしていたのだった。

マッチの登場によって、暮らしは革命的に便利になったことだろう。

暮らしや産業への寄与、いずれの面でも大変な功労者だったからこそ、金沢と東京にこうして顕彰碑が建てられたというわけだ。

吉井友実

余談になるが、清水誠にパリでマッチを作ることを持ちかけた宮内次官・吉井友実(ともざね)という人物を探ってみると、これまた面白い人物だった。

吉井友実は薩摩藩士として幕末、明治維新前夜には、岩倉具視や西郷隆盛らと王政復古の協議に加わり、戊辰戦争では東北各地に転戦するなどしたほか、坂本竜馬とお龍の鹿児島行に際しても屋敷に滞在させたという。

そして、日本最初の新婚旅行ともいわれる「竜馬とお龍の霧島の湯治旅行」にも同行したとのことだ。

吉井勇

更に、その孫は歌人として知られる吉井勇(1886-1960)だった。

放蕩の暮らしをする中で、京都・祇園をうたった歌はよく知られている。

「かにかくに 祇園はこひし寝(ぬ)るときも 枕のしたを水のながるる」

そして、黒沢監督の「生きる」の中で志村喬が歌った「ゴンドラの歌」も吉井勇の作詞だ。

「 いのち短し戀(こい)せよ少女(をとめ)
 朱(あか)き唇(くちびる)褪(あ)せぬ間に
 熱き血潮(ちしほ)の冷えぬ間に
 明日の月日(つきひ)のないものを」

マッチ

百円ライターの出現や、ガスの点火にマッチが不要になるなど、暮らしの中からマッチが姿を消しつつある。

日本燐寸工業会のデータによると、日本のマッチの生産量は

1966年(昭和41年)当時の約60万トンと比べて、2004年(平成16年)は約3万トンと、20分の一に激減している。

変わりマッチ

しかし、「日本のマッチの種類の多さは世界一、多品種少量生産に対応できるシステムが確立しているので、世界中から、広告宣伝用のマッチの受注がある」と「マッチの世界」には書かれている。

円高や時代の変化に負けず頑張ってほしい。

「5月12日はマッチの日」と云うのは、清水誠が1869年(明治2)5月12日、ヨーロッパ留学のため横浜港から出航したことに因んで決められている。



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め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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