南極探検100年~白瀬中尉


海岸3丁目の記念碑

港区海岸3丁目の埠頭公園に「南極探検隊記念碑」が立っている。

白瀬矗(のぶ)陸軍中尉をはじめとする日本初の南極探検隊の事蹟を顕彰するものだ。

白瀬らが、南極探検を無事終えて、日本へ戻ってきたのは1912年(明治45)、今年でちょうど100年になる。

1936年に建てた

記念碑には、一行の探検の概要と、探検に参加した隊員の名前などが記されている。

碑は昭和11年(1936)に建てられた。
左右に建つペンギン像は朝倉文夫の作だ。

事蹟概要

探検隊が、ここ芝浦の岸壁を出港したのは明治43年11月2日。
しかし、出航が遅く南極の夏が過ぎてしまったため、南極探検は一年余りあとになった。

1912年1月28日、白瀬ら突進隊5人を載せた犬ぞりは雪原を260キロ南進して、南緯80度5分、西経156度37分の地点まで到達。
その地点を「大和雪原」と命名し、日章旗を建てて日本領を宣言した。

食糧不足などのため南極点に達することはできなかったが、この時点で南緯80度を超えたのは南極点に到達したノルウェーのアムンゼン、イギリスのスコットなどに次いで4番目、世界的な壮挙だった。

白瀬中尉

白瀬矗(1861-1946)は秋田県出羽国由利郡金浦村(現在の秋田県にかほ市)の寺の長男として生まれた。
探検家を志したのは11歳の頃、寺子屋の教師から北極の話を聞いてからという。

教師は白瀬に対し5つの戒めを教えたが(酒・煙草・茶・湯を絶ち、そして寒くても火にあたらない)、白瀬は生涯この戒めを守り続けたそうだ。

陸軍に入った白瀬は明治43年、帝国議会に南極探検の費用補助を建議するとともに、大隈重信を南極探検後援会の会長にいただいて、全国から拠金を募り、探検の費用とした。

白瀬が南極に向けて出港したのは、その年の11月、49歳のときだった。

開南丸

この船は南極探検で使われた「開南丸」。
204トンの木造の小型機帆船で、後援会のメンバーに名を連ねる東郷平八郎が命名したのだという。

昭和の南極観測船「宗谷」は4000トン余り、それでも氷に閉じ込められ、ソビエトの「オビ号」などに救助されたことを思うと、よくそんな小さな船でと感心する。

因みに、ノルウェーのアムンゼン隊の船は750トンで、開南丸を訪れたノルウェー隊の関係者が「こんな小さな船で」と驚嘆していたという。

写真部員

写真部員 田泉保直24歳 との名前が見える。
大隈重信が親しくしていた映画会社から派遣された人物だ。

南極に行く際には1万円(現在の5000万円位の価値)の保険が掛けられ、そのうち5千円を機材の保険に、あとの5千円は田泉の遺族に支払うという契約だったという。

この時撮影されたフィルムは、国立近代美術館フィルムセンターにあり、館内のモニターで視聴できる。

隊員が、ペンギンなどを追いかけるシーンなどがあり、探検隊の様子の一部をうかがえる。

遊具の開南丸

これは埠頭公園にある「開南丸」を模した子供の遊具。

探検隊は一人の遭難者も出さず、今から100年前の1912年(明治45)6月20日、開南丸は無事芝浦に戻ってきた。

ウィキペディアによると、白瀬のその後はこんな様子だった。

「帰国後、後援会が資金を遊興飲食費に当てていたことがわかり、白瀬は数万円の借金を背負い、隊員の給料すら支払えなかった。
家財を売却して転居につぐ転居を重ね、実写フィルムを抱えて娘と共に、日本はもちろん台湾、満州、朝鮮半島を講演して回り、20年をかけて渡航の借金の弁済に努めた。

終戦後の昭和21年(1946年)、愛知県西加茂郡挙母町(現・豊田市)の、白瀬の次女が間借りしていた魚料理の仕出屋の一室で死去。享年85。
白瀬の死後は、遺族の窮状を見かねて浄覚寺の住職が引き取った。

奇しくも、のちに第1次南極観測隊隊長となる永田武は、白瀬の遺族と同じ浄覚寺に疎開していた」

「白瀬」のスクリュー

これは、記念碑の横に展示されている砕氷艦「初代しらせ」のスクリュー。
4枚羽のうちの1枚だが、優に大人の身長を超える。

白瀬たちの挑んだ南極の厳しい自然を、今の私たちに教えてくれている。
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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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