松岡美術館は「パラダイス」だった


大阪朝日放送に「探偵ナイトスクープ」という人気番組がある。
関東でもテレビ神奈川で放送されていて、私は毎週楽しみに見ている。

その中の人気コーナーの一つに、桂小枝が担当する「パラダイスシリーズ」というのがある。

それは、全国各地にある私設の遊園地=パラダイスを訪ね、製作者が思い入れたっぷりに作った遊具などを紹介するもの。

パラダイスを作った人のユニークなキャラクターが、毎回面白い。

先ごろ訪ねた「松岡美術館」は、その「パラダイスシリーズ」と似た味わいを持った、極めて個性的な美術館という印象を持った。

今回は、松岡美術館をご紹介したい。

田村屋敷

港区新橋4丁目、日比谷通りに立つ案内板。

忠臣蔵の浅野内匠頭が切腹した場所だ。
江戸時代、ここに田村右京太夫の屋敷があったので、昔は田村町と呼んでいた。

ここがスタート

そこからすぐ近いところにある「松岡田村町ビル」。

松岡美術館は、当初このビルの8,9階に作られていた。

今でも、ビルの入り口には、2世紀の古代ローマ時代の彫刻が置かれている。

松岡清次郎

美術館を作ったのはこの人、松岡清次郎という実業家だ。
貿易、不動産などで財をなし、それをもとに美術品の収集をしていたが、昭和50年(1975)80歳の時、それまで自分のためにだけ蒐集してきた美術品を一般公開しようと、美術館を作った。

白金台

松岡が亡くなった後、平成12年(2000)、美術館は 私邸があった白金台に移ってきた。

所蔵品は1800点にも達するという。
すべて彼が一代で収集したもので、内容は洋の東西、古代、現代を問わず実にさまざまだ。

企画展「女性美」

その豊富な所蔵品の中から、現在展示されているのは「女性美 The Beauties He Loved」という企画。

英語の題からすると「松岡の愛でた美人たち」とでもいう意味なのだろう。

早速、展示品の一部をご紹介するが、その幅の広さには本当に驚く。

古代エジプト・ギリシャ・ローマ時代のものからガンダーラ、インド、中国美術、日本画から現代彫刻まで実に多様だ。

(この美術館は、写真撮影は許可されている)

エネヘイ像

これは、エジプトの紀元前14~13世紀の「エネヘイ像」と呼ばれる彫刻。

インド、ヤクシー

これは11世紀ごろのインド彫刻「ヤクシー」。何とも肉感的な彫刻だ。

能面2

これは江戸時代に作られた能面「増女(ぞうおんな)」

上村松園

女性画家として初めて文化勲章を受けた上村松園の日本画「春宵」

伊東深水

これも題は「春宵」

女優・朝丘雪路さんの父、伊東深水の作品だ。

田中繁吉

田中繁吉の「紫紺の布」

等々、展示品のジャンルの幅の広さに驚く。

美術館のホームページには、「(収蔵品が)『雑多すぎる』との批判のありますが、私立美術館というのは蒐集家の審美眼・鑑識眼を美術品を通して一般観者に訴えるべき場所と考えます」というコメントが書いてあった。

同じ私立美術館でも倉敷の大原美術館は、児島虎次郎という画家の視点による一貫性が感じられる。

それに比べて、こちらの美術館は「松岡清次郎というコレクターのおもちゃ箱」といった感じ。

展示品の一点一点は、とても充実していて面白い。

ただ、それ以上に「あれもほしい、これもほしい」と駄々をこねているような松岡の人物像が想像されて面白かった。

生前、世界中の美術品に囲まれた空間は、松岡清次郎にとって、まさにパラダイスだったのだと思う。

私は「ユニークで楽しい美術館」だと思った。

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め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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