流行歌を変えた 「阿久悠記念館」へ

アカデミーコモン
神田駿河台にある明治大学。今年創立130周年を迎えた。
これはアカデミーコモンと呼ばれる建物、明治大学OBである阿久悠の記念館はこの中に作られた。

大久保彦左衛門

本題に入る前に、まず駿河台の地名の由来から紹介しよう。
ご意見番として知られる「大久保彦左衛門」の屋敷跡の碑が、明治大学前の大通りを挟んで反対側にある。

駿河台とは、駿府(つまり駿河)から移住した徳川家康の家臣が居を構えたことに由来するという。

ポスター
本題に戻る。
「阿久悠記念館」は10月28日にオープンした。
アカデミーコモンの地下1階にあり、無料で誰でも自由に入れる。

入り口
入り口の左に、こんなパネルが飾られている。

阿久悠らしく、短いが味わい深い言葉だ。
「今を大事に、すべてを大事に、生きなければ」と、改めて思う。

ヒット曲
これは、入口の右側に飾られたパネル。
彼が世に送り出したヒット曲のジャケットが99枚並んでいる。

時代の雰囲気を巧みに表現した歌詞で、流行歌の歴史に新しいページを書き加えた人物であることは、間違いないだろう。

「熱き心に」「青春時代」「時代遅れ」・・・阿久悠作品で私がよく歌う曲だが、皆さんはどうだろう。

中は撮影ができないので写真での紹介はできないが、レコード大賞で獲得した多くのトロフィーや、年表、写真、詩や小説の自筆の原稿、晩年に原稿を執筆した伊豆の仕事場を再現したもの、それに、阿久悠作品を検索、視聴できるパソコンなどがあった。

印象深かったのは、阿久悠が1979年からスポーツ新聞に書き続けた「甲子園の詩」だ。
1979年8月16日の星陵ー箕島戦のときの原稿が展示されていた。

私事になるがこの年、私は福岡で勤務していた。
そして、この試合でNHKのテレビ中継を担当していたのは、当時福岡にいた内藤勝人アナウンサーだった。
そんなことから、この試合を食い入るように見つめていた。

この試合では、2度の劇的な場面があった。

延長12回、先攻の星陵は1点リードするが、ツーアウトからホームランを打たれ試合は振出しに戻ってしまう。

そして延長16回、星陵は今度も1点リードして2アウトと、勝利にあと1人のところまでこぎつける。
そして、迎えた打者は1塁ファールフライを打ち上げる。
これで試合終了と思ったその時、1塁手が芝と土の境目で足を滑らせ転倒、捕球することができない。

そしてその直後、命拾いをした打者がホームランを打ちまたも同点。
結局、延長18回、箕島が4-3で勝利した。

高校野球の長い歴史の中でも屈指の好ゲームだった。

その時の「甲子園の詩」は、このように書かれた。

君らの熱闘の翌日から
甲子園は秋になった
東南の海を駈ける台風が
思わず走りをとめてのぞくほど
試合は熱く長く激しく
翌日の空は
熱気をはらんでいるものの高く澄み
もう秋だった

それにしても君らが示したあの力は
一体何だったのだろうか

奇跡とよぶのはたやすい
だが
奇跡は一度だから奇跡であって
二度起きればこれは奇跡ではない

言葉がない
言葉で示そうとするのがもどかしい
一瞬でいいつくす言葉の奇跡が
ぼくにはほしい


勝利は何度も背を向けた
背を向けた勝利を振り向かせた快音が
一度 そして 二度起きたのだ

誰が予測できるだろう
祈ることはあっても
願うことはあっても
予測出来るはずがない
ましてや 確信など誰にあろうか

熱く長い夏の夜
人々の胸に不可能がないことを教え
君らは勝った
球史にのこる名試合は
箕島・星稜
時は昭和五十四年八月十六日
君らの熱闘の翌日から
甲子園は秋になった


そして、もう一つ。
1988年、岩手県・陸前高田の高田高校が初出場した時のエピソードも展示されていた。
その年、滝川第二高校と対戦した高田高校は、8回裏、降雨コールド負けで甲子園を去るが、高校の校門前には、甲子園出場の記念に「甲子園の詩」を刻んだ石碑が作られた。

高田高校の碑

それがこの石碑だ。

今年3月の津波は、校舎3階までのみこみ多くのものを流し去ったが、この石碑は流されることなく残った。

「青空と太陽に貸しを残して」とのタイトルが読める。

阿久悠(本名は深田公之) 1937.2.7~2007.8.1

戒名は「天翔院詞聖悠久居士」。

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プロフィール

め組のかった

Author:め組のかった
「惑わず」の年から走り始めて四半世紀。還暦で初フルマラソンを走り、2010年には66キロのウルトラを制限時間ギリギリで完走。現在も月に200キロ以上を目標に走り込みながら、写真を撮っている。
このブログは、ジョギング中に撮り貯めた写真によるフォトエッセイを目指している。
タイトルは「おくのほそ道」をもじってみたのだが、さて、わかるかなあ?

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